2015/06/10

Primeval forest


 20150606 sat - 07 sun 「梅雨の晴間に芦生の森」

京都美山のまだ奥にある芦生の森は京都大学の研究林
毎年のように夏の頃に訪れる原始の森は巨木達が迎えてくれる
美山川の源流部はいつだって優しく爽やかな風が頬を撫でてくれる

ここはミシシッピー川じゃないけれど トム・ソーヤーに会えるかな
ここはオハイオ川じゃないけれど ハックルベリー・フィンに会えるかな
ここはムーミン谷じゃないけれど スナフキンに会えるかな

児童文学やおとぎ話に出てくる様な主人公達に出会えそうな深い森
木々の影からティンカー・ベルやゴブリンが現れたって不思議じゃない
ゆったり流れる時間を森の中で静かに楽しめる素敵なウィルダネス



6月8日から7月3日まで入山禁止にするようだ。
きっとみんなでジビエ祭でもするのだろう・・・(笑


ただし土曜日のみ長治谷テン場宿泊はオッケーのようだ。


土曜の朝、車を一時間半ほど飛ばし、婆ちゃんの見舞いに行った。
その足で芦生の森へ向かった。入山は昼過ぎ・・・最近のパターンか(笑


養護老人ホームに入居していた婆ちゃんが胆嚢炎で療養型の病院に入院した。


僕の婆ちゃんは大正2年生まれ。今年で102歳になった。
婆ちゃんの人生はそこそこ波瀾万丈だったと思う。
婆ちゃんは24歳で結婚し昭和12年に長男を生んだ。その長男が僕の父親だ。
だがその翌年には夫を病気で亡くしている。


婆ちゃんの実兄がとても裕福な人だったので長男を兄の養子にしてもらい
自分共々生活の面倒をみてもらったようだ。
その後、再婚することもなかったので婆ちゃんの子供は長男一人だけ。
もし養子縁組していなかったら僕の姓は柳川だったそうな。


長男は20年前に58歳で肺ガンで他界した。僕が喪主を務めた。
婆ちゃんは長男を亡くす少し前から老人性認知症を発症していた。
長男(僕の父)が亡くなり嫁(僕の母)は体調を崩し倒れてしまった。


親戚にも相談したが結局僕の判断で婆ちゃんには老人ホームに入居してもらった。
最初の頃は別荘生活的な気分でご機嫌さんだったが症状は進んで行った。


ほんの数年で嫁や孫の名前が分からなくなり、
次第に誰であるかも判断できなくなっっていった。
ただ長男の名前だけは時々呼んでいた。
長男は最近来てくれないと・・・どこへ行ったのだと・・・


そしてここ数年はとうとう寝たきりになり意思の疎通も不可能になった。
婆ちゃんの口から言葉を聞く事も無くなった。
うつろな半開きの瞳は虚空を見つめるだけ・・・


夫を早くに亡くし一人息子より20年も長生きしている婆ちゃんは幸せなのか。
自分が誰であるかも分からないなんてあまりに悲しすぎると思うんだ。
夫も長男もどうして婆ちゃんを迎えに来てやらないのだ・・・僕は墓前で愚痴る。


さて、愚痴る人は嫌いなので話しを戻そう。

モリアオガエルのタマゴだろうか?
タマゴの下にはもちろん水場が広がっていた。


で、kumiちょが恋い焦がれるアカハライモリがご挨拶(笑
あっちゃこっちゃによーさんいたはりましたわ♫


ユルい登り基調の林道をまた〜り歩く。


芦生の森に数多ある巨木の一つがカツラの保存木。
屋久島の屋久杉にだって負けていない迫力は威風堂々。


若いシダ類が同心円的に開き美しい。


さて? 花の名前は・・・僕に聞いてはいけない(笑


地蔵峠との分岐まで来れば長治谷テン場も近い。


須後の登山口駐車場から10kmほどハイクアップしてきた。
標高差は身体に優しい300mほどのユル〜い森歩き♫


長治谷作業小屋が見えたら本日のゴール。
広い広い芦生の森で許されている唯一のテン場。
他の場所でテン泊したら「ネットで叩かれるぞー!」なので、ご用心ご用心(笑


20kg担いで、また〜り歩いて3時間ほどの行動時間でゴール。
サクッとテントを設営したらまずは今宵も乾杯の儀を執り行う♫
常温だろうとエビスはうみゃい!


整地の必要の無いウルトラドフラットなテン場はありがたい♫
今宵の我家はエスパース。やっぱ和める天井の高さが秀逸なのよ。


快晴の週末だというのにこの日のテン場は僕達だけの貸し切り状態。


長治谷作業小屋には京大職員も居らず辺りは静寂に包まれている。


ディナーはkumiちょ特製チキンとアサリのミネストローネで満腹なり♫
新鮮セロリもええ仕事してましたわ。


美山の美味しいパン屋さん「ふらいぱん」のコーンのパンはカリカリふわふわ♫


黒霧島のトーテムポールは依存症の証(ウフッ♫
この夜も三脚(1.5kg)は歩荷トレになってしまった・・・
日没から雲が出て星空はまったく無く・・・残念だよ・・・


夜明け前は濃霧に包まれ当たりは真白だったのだが、
日の出からは驚くほど一気に晴れていった。


夜露でビシャビシャになったフライシートをピカピカの朝日で乾かす。


ブレイクファーストは玄米のパンを焼いて・・・


昨夜、大量に作ったミネストローネの残りにパスタをINして完成♫


まったり森の朝を満喫して出発したのは午前7時半過ぎ。


三国峠との分岐を上谷方面に進路をとればすぐに野田畑湿原。



その後はウツロ谷、アン谷、キエ谷、岩谷、枡上谷、クツベ谷、モンドリ谷と
小さな谷を幾つも越えてゆく森歩き。


明瞭な踏み跡が有ったり無かったり。
トレースを気にする必要はない。沢沿いに歩けばいいのだから。


今年も木登りターザンツリーは健在だった。


ツリークライミングが得意な人はかなり上まで登っていけるトチノキ。


朽ちて倒れた巨木も其処彼処にある。
そこには新しい息吹が芽生えている。


深い深い森の中で輪廻は繰り返されているのだろう。


さて・・・ガクアジサイの仲間だろうか・・・
花の名前は・・・僕に聞いてはいけない(笑


由良川源頭部まではあと少し。


浅くなりつつある沢を右岸、左岸と何度も徒渉する。


初夏の新緑からの木漏れ日が美しい。


湿度は限りなく低く爽やかな風が心地良い。


近畿最深部の深い深い森の中を彷徨う。誰にも会わない。
辺りを静寂が支配する原始の森。


沢の流れる音と野鳥のさえずりだけ、ただそれだけ。
とても柔らかで幸せな時間がゆったりと流れている。


今年も健在だった熊が冬眠出来そうなウロのある大きなトチノキ。


シェスタが出来そうな安定感は芦生の森でもトップクラス♫


沢の水はやがて涸れてゆく。
若丹国境尾根に続く由良川の源頭部は分水嶺。


本日の最高峰は杉尾峠765m。
長治谷からの累積標高は200m未満のユルいハイクアップ♫


杉尾峠からは少し下り一度林道に出て西方面へ100m程歩いたところから(標識有り)
ズルズルの激下りを10分で櫃倉谷へドロップイン♫


ここからはまた癒しの森歩き(沢歩き)が始まる。


寄生植物が多いのでいたるところでネジネジツリーを見かける。


今年も健在スケキヨツリー♫


カワイイ多種多様な苔類も多い。


滝を高巻きするパート前後で3カ所ほどトラロープポイントがある。
岩が濡れている上にトレランシューズだったので滑り落ちそうで恐かった〜(汗


kumiちょは登山ブーツだったので入水しないように必死のパッチ!
石の上に慎重に足をおいて滑らないように足下プルプル状態で渡渉する(笑


こんなシーンが何度も何度も繰り返される渡渉の連続。


僕はモントレイルのトレランシューズなのでジャブジャブ沢歩き♫


沢に膝まで浸かっても冷たい季節ではなくなった。
さて、そろそろ沢登りのシーズンイン近しだね♫


長治谷作業小屋から杉尾峠までは芦生の森のメジャールートなので看板も多い。
踏み跡も多く迷い様の無いルートだが、
杉尾峠から櫃倉谷の沢ルートは目印も看板もほとんどない。


僕は何度も訪れているので地形を把握しているが、沢が何度も合流するルートなのだ。
ココで道迷いをしたという人のブログ記事も少なくない。


初めて櫃倉谷に来る人は地図やコンパスの装備は当たり前として、
GPSもあったほうが何かと心強いだろう。


kumiちょはよほど靴を濡らしたくないのか自分で川に石を置きながら渡渉してたよ(笑


ラストの休憩ポイントは横山峠手前の中のツボ谷でまた〜りタイム♫


kumiちょはハンモックの様な優しいアールの木で寛ぎ、
苔のクッションでフカフカ癒される♫


僕はターザンツリーに攀じ登りブランコ遊びでハイテンション♫


横山峠を登って下りて一度渡渉すれば林道に出る。


林道歩きは小一時間で須後の登山口駐車場に戻ってこれる。


須後に辿り着いたのが12時半だったのでこの日の行動時間は5時間弱(レスト込み)
昨日・今日のルートは須後を早朝に出発すれば一日で回れるだろう。

だが僕は深い森に抱かれて眠る素敵な夜をお勧めします。
ピークハントも稜線漫歩も無い森歩きだけど原始の森は癒しの空間です。


下山後は河鹿荘の温泉で汗を流し、
美山のもりしげで茶蕎麦&地鶏鍋の満腹コースでしたとさ〜♫

10 件のコメント:

  1. 芦生の森はズボッた記憶が強烈なんだけど、
    グリンシーズンはやさしい雰囲気に満ちたステキな森やね。
    人も全然おれへんし、しかもテン場が
    飲み過ぎ間違いなしの最高なロケですやん!

    それにしてもスケキヨ、
    やっぱり、どことなくヒワイな形やね〜(笑)

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  2. (^_^)
    芦生良い時期やねぇ〜
    もう、何年行ってないかなぁ
    2号も前から行きたがってるし、近い内に計画に入れてみよう!
    平な地面のテント泊は最高やもんねぇ〜(^_−)−☆
    そろそろ…………蛍かぁ

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  3. えれぇこった2号2015/06/11 0:39:00

    素敵なところですね!!
    ムーミンのスナフキン出てきそうですね!!
    まったりのんびり山を楽しみたい時に行きたいですね。

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  4. daiちゃん

    懐かしいね〜♫
    スノーシュー履いてない人はズボズボやったね(笑
    行動中もテン場でも誰にも会わないなんて奇跡的やで!
    この夜は静かに落ちて行ったそうです(本人記憶無し)

    スケキヨなんか成長して・・・毛ぇボーボーみたいな風貌やったわ(笑

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  5. bp-hiroちゃん

    遠い昔は芦生のバリルート行ってたよね〜
    あかんとこにテン泊したりして!(笑

    必死のパッチのアルパインも男前やけど
    たまにはまた〜り森歩きもええんちゃうかな♫
    そろそろホタルも飛び始める頃やね〜

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  6. kakaちゃん

    ここはほんまに素敵な森だよん♫
    必死のパッチなクライミングライフばかりやと疲れへん?
    たまにはまた〜りな森歩きをお勧めします(笑

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  7. ええ遊具がありますんやな~ 僕ものりたーい!
    芦生の森のトロッコ道を歩いてみたいんやけど遠くて
    なかなか行けてないなぁ(>_<)
    写真からも山をすごく愉しんでいるのが伝わってくるよ~
    婆ちゃんすんごい長生きですね!これからもお元気で!!

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  8. 好人ちゃん

    ここはほんまにいろんな遊具が有ります♫
    お子ちゃまかってめっちゃ楽しいと思うよ〜
    トロッコ道も何回か歩いているけどレトロな雰囲気がええ感じです。

    >婆ちゃんすんごい長生きですね!これからもお元気で!!
    昔おった金さん銀さんみたいに元気やったらええねんけどね・・・
    介護士の人らってほんま頭上がりませんわ〜

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  9. 遅ればせながら…、
    かっちゃのブログを読んで思ったこと。
    岩は岩で楽しいんだけど、
    森とか川とか花とか、そういうことに心を喜ばせる山行がしたいな〜って、思います。
    私は何がしたいんやろ?

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  10. kkちゃん

    山も日常も全て自己責任や思うねん・・・

    kkはdaiに、ついていったらなあかんと思てるし・・・
    kakaは、bp-hiroについていったらなあかんと思てるし・・・
    kumiちょは、katsu♨についていったらなあかんと思てるし・・・

    選択したん・・・   自分やんか・・・
    最後に言うとくけど、アルパイン選択でけへんかった自分が・・・
    ちょっぴり、寂しいねん・・・

    また来生、トップロープオンリーでビレイしてな〜(笑

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